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自社株買いってなに?メリットや最近の事例を紹介
2022年07月29日
自社株買いってなに?メリットや最近の事例を紹介

「自社株買い」という言葉をニュースなどで聞いたことはありませんか?自社株買いは企業や投資家にとってかなり重要な出来事です。今回はそんな自社株買いについて、自社株買いを行う企業のメリットや株価への影響、最近の自社株買いの事例を紹介していきます。

自社株買いってなに
自社株買いによって起こる株価の変化
PERが低くなる
PBRが低くなる
ROEが上昇する
自社株買いのメリット
敵対的買収などの脅威から自社を防衛できる
ストックオプション
2022年7月に自社株買いを発表した企業
1社目:東宝株式会社
2社目:旭化学工業株式会社
3社目:信越化学工業株式会社
まとめ

自社株買いってなに

自社株買いとはその名の通り、企業が自ら発行した株を、自らの資金で買い戻すことです。株式会社は、事業を行うのに必要な資金を得るために株式を発行し、その発行した株は、市場などで機関投資家や個人投資家がお金を出して買います。自社株買いは、それとはまったく逆の動きをすることを指します。

自社株買いで買い戻した株はどうなるのかと言うと、買い戻した株は主に2つのパターンに分かれます。

一つ目は「金庫株」となるケースです。金庫株とは株式会社が発行済みの自社の株式を株主から買い戻し、消却や譲渡せずに自社で保有しているものを言います。

二つ目は「消却」するケースです。企業は株主総会の決議に基づいて、市場に出回っている自社の株式を自ら買い取り、消却(消滅)させることが可能となっています。

自社株買いによって起こる株価の変化

自社株買いをすると株価に大きな影響を与えます。その理由は株価指標が変化するからです。自社株買いによって起こる指標の変化は、主に以下の3つになります。

PERが低くなる

自社株買いを行うことで影響を受ける株価指標の一つ目はPERです。PERは株価に対してどの程度の収益を上げたのかを測る指標となります。そしてPERの数値が小さいほど割安と投資家から判断されます。PERは株価をEPS(当期純利益を発行済株式数で割った値)で割って求めますので、発行済株式数が減ることでEPSの数値が高くなり、PERが低くなります。PERの数値が低くなることで投資家から注目を集め、その結果株価が上がることに繋がります。

PBRが低くなる

自社株買いを行うことで影響を受ける株価指標の二つ目はPBRです。PBRとは、純資産に対して株価が何倍であるかを測る指標です。PBRは株価をBPS(自己資本を発行済株式数で割った値)で割って求めるため、発行済株式数が減ることでBPSの数値が高くなり、PBRが低くなります。一般的にはPBRが1倍以上であれば割高、1倍を割っていれば割安と判断されます。

ROEが上昇する

自社株買いを行うことで影響を受ける株価指標の三つ目はROEです。ROEは自己資本利益率のことを示し、自己資本に対してどの程度の収益を上げたかを測る指標です。ROEはEPS(当期純利益を発行済株式数で割った値)をBPS(自己資本を発行済株式数で割った値)で割って求めるため、発行済株式数を減らすことでROEの数値は高くなります。ROEは8~10%を超えると優良企業だといわれています。

自社株買いのメリット

自社株買いは株価を上げる以外にも企業側にメリットがあります。ここでは2つのメリットを紹介します。

敵対的買収などの脅威から自社を防衛できる

敵対的買収とは、敵対している企業に株式の多数を買われることによって望んでいない買収をされることです。自社株買いの影響で株価が上昇した場合、1株あたりの株価が高くなります。敵対的買収は経営権が獲得できる株式の発行総数の3分の2超を取得する必要があるため、どうしても一定以上のコストがかかります。つまり、1株あたりの株価が高くなると、買収する側は株式を取得するのにそれだけ大きな資金が必要になるため、買収しにくくなります。

ストックオプション

ストックオプションとは、あらかじめ決められた価格で株式を取得できる権利のことです。そして企業は市場から自社株買いにより買い集めた株式を消却することも「金庫株」として保有し続けることも可能ですので、ストックオプション制度を導入し、従業員への金銭的なインセンティブ制度として活用することもできます。

2022年7月に自社株買いを発表した企業

自社株買いを行う企業は数多くありますが、最後に2022年7月に自社株買いを発表した企業を紹介していきます。

1社目:東宝株式会社

東宝株式会社は映像事業と演劇事業など幅広い事業を行っている映画会社です。東宝株式会社は2022年7月12日に60億円を上限に自社株買いを行うと発表しました。

2社目:旭化学工業株式会社

旭化学工業株式会社は工業用プラスチック製品の開発、製造などを行っている成形加工メーカーです。旭化学工業株式会社は2022年7月13日に8000万円を上限に自社株買いを行うと発表しました。

3社目:信越化学工業株式会社

信越化学工業株式会社は日用品から宇宙開発、半導体シリコンウエハなどで世界的に高いシェアを持つ化学メーカーです。信越化学工業株式会社は2022年7月27日に1000億円を上限に自社株買いを行うと発表しました。

まとめ

自社株買いとは、会社が発行している株を、自らの資金を使って市場から買い戻すことです。基本的に自社株買いが行われることは、理論上だと株価が上がりやすくなり、投資家や企業にとってプラスとなります。今回の自社株買いの目的は株価の下支えなのか、敵対的買収対策またはストックオプションが目的なのかなど、投資家目線で自社株買いのニュースに注目してみると、よりニュースが面白くなるかもしれません。

シャケ男
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