- 取引を始めるその前に!現物取引の基礎知識
- 2021年11月19日
日本株投資に興味を持って勉強を始めた人は、「現物取引」や「信用取引」といった言葉を目にしたことがあると思います。株式投資の方法はいくつかありますが、その中でも現物取引は皆さんが想像しているもっともメジャーな取引方法です。
この記事では、実際に取引を始める前に知っておきたい現物取引の基礎について解説していきます。
現物取引とは
「現物取引」とは、投資家と証券会社の間で、購入したい株式の株価・数量に相当する現金と株式を交換する株式取引のことです!
自分が持っている資産の範囲で取引することから現物取引と呼ばれており「現物」と省略されることがあります。
ちなみに現物取引では、同一日に同一銘柄を同一資金で「買付⇒売付⇒買付」もしくは「売付⇒買付⇒売付」を行うことはできません。
ただし、余力資金がある場合は「同一資金」とみなされないため、「買付→売却→買付」「売却→買付→売却」が可能です。
また現物取引以外の主な株取引としては、「信用取引」があります。
信用取引は、元手となる資金を証券会社に預け入れることで、証券会社からお金を借りて元手資金以上の取引ができたり、通常は「買い」から始める株式投資をFXなどのように「売り」から始めることができたりする取引です。
さらに、同一日に同銘柄を同一資金で何回も取引することができます。
このように利便性は高いものの、現物取引と比べるとリスクが高くいくつかの取引条件もあるため、初めての株取引であれば「現物取引」を選択するのが良いと思います。
現物取引の魅力
現物取引の魅力は主に「株式の値上がり益」、「配当」、「株主優待」の3点です。
株式の値上がり益(キャピタルゲイン)
「株式の値上がり益(キャピタルゲイン)」とは、保有していた資産を売却することによって得られる売却益のことです。株価が上がりそうな株を選んで買い、購入価格よりも値段が上がった時に売るだけなので中長期はもちろん、短期間での利益獲得を狙うこともできます。
配当
「配当」とは、企業が稼いだ利益を株主に還元することです。支払われる配当金は、毎回決まった額ではなく業績によって変動し、多くの企業では年に1~2回に分けて支払われます。ちなみに、決算発表のときに業績予想と1株当たりの配当金の予想も発表されます。
値上がり益と違い、株を売却しなくても利益を定期的に得られることから、配当率の良い「高配当株」を好んで投資する人もいます。
重要なのが、配当金をもらうためには権利付き最終日まで株を保有しないといけない点です。なので、配当を狙う場合は事前に企業の権利付き最終日が何月何日なのかを把握しておきましょう!
株主優待
「株主優待」とは、自社製品や自社サービスの優待券などを会社が株主に対してプレゼントする特典のことです!ただ、株主優待制度を実施している企業、実施していない企業もあり、また株主優待を受けられる必要な株数もあります。
※株主優待についての詳しい説明は、こちらの記事をご覧ください。
株式投資を始める前に知っておきたいこと
一般に上場している株を売買したい場合は、証券会社を通じて証券取引所に注文を出します。証券取引所には多くの注文が集められ、ルールに基づいて売買が成立します。
日本には札幌、東京、名古屋、福岡の4つの取引所があり、その中でも特に多くの上場会社の株式を扱っているのが東京証券取引所です。
東京証券取引所の区分
東京証券取引所には、「プライム」「スタンダード」「グロース」などの市場株主数・流通株式・上場時価総額・事業継続年数等の上場基準によって分かれています。
市場区分 | プライム | スタンダード | グロース |
---|---|---|---|
株主数 | 800人 | 400人 | 150人 |
流通株式数 | 2万単位以上 | 2000単位以上 | 1000単位以上 |
流通株式時価総額 | 100億円以上 | 10億円以上 | 5億円以上 |
流通株式比率 | 35%以上 | 25% | 25% |
時価総額 | ― | 250億円 | ― |
新市場区分のコンセプト
プライム市場
流動性と信頼性があり、中長期的な企業価値向上にコミットする企業が対象となる市場です。主に現在の東証一部上場企業が該当します。
スタンダード市場
プライム市場に続く一定の時価総額を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えた企業が上場する市場です。
現在の東証二部とJASDAQ(スタンダード)の基準が統一された市場です。
グロース市場
高い成長可能性を実現するための事業計画の進捗と開示が行われ、一定の市場評価を得られる企業が上場する市場です。主にベンチャー企業などが対象となります。
株を購入するために必要な資金はどれくらい?
株式が売買される証券取引所では、上場会社が定款で定めた「単元」という単位で株式の取引が行われます。2018年10月から上場企業における株式の最低売買単位(単元株式数)は100株に統一されました。
もし1株1000円の株式を100株購入したいと考えた時、購入価格は10万円になりますので、必要資金はもちろん10万円となります。
例えば、2021年10月にもっとも株価が安かったのが、
9318 東証2部 アジア開発キャピタル(株) 700円/100株
逆に最も株価が高かったのが、
9983 東証1部 (株)ファーストリテイリング 7,551,000円/100株
です。
さすがにいきなり数百万円もの資金を投下するのは勇気がいるかもしれません。
証券会社によっては、1単元に満たない株数(単元未満株)を購入できるサービスを提供している会社もあるため、少額から始めたい場合は、そのようなサービスを提供している証券会社を探してみましょう。
株式を売買するときの注文方法
株式を売買する場合、買い注文や売り注文を出さないといけません。
注文方法の基本になるのが、自動的に価格が決まる「成行注文」と価格を指定する「指値注文」の2種類です。株式投資ではこの成行注文と指値注文を使いこなすことが重要になりますので、この2つの注文方法の違いを説明します。
成行注文とは
成行注文とは売買取引を行う際に値段を指定しない注文方法です。
メリットはすぐに株を売買することができ、デメリットは価格を指定しないので約定タイミングがわかりにくいことです。自分が考えていなかった価格で取引が成立することもあります。
指値注文とは
指値注文とは買う、もしくは売る値段を自分で指定して注文する方法です。例えば「100円以下になったら買い」「100円以上になったら売り」といった注文方法となります。
メリットは成行注文と違い、自分の希望した価格で株を売買できる点です。デメリットは株の売買に時間がかかることです。希望した価格に達しなければどれだけ時間がたっても注文は成立しません。
覚えておきたい代表的な株価指標
現物取引を行っている投資家は今後伸びそうな企業に投資をしたいと考えています。
そこで今後伸びそうな企業などを予想するのに投資家が参考にしているのが、株価指標や財務指標など、株価の動きを見通すための指標です。代表的なものは以下になります。
EPS(1株当たり当期純利益/Earnings Per Share)
EPS(1株当たり当期純利益)とは、1株あたりの利益がどの程度なのか知る指標です。
EPSの計算方法
EPS = 当期純利益 ÷ 期中平均発行済株式数
BPS(1株当たり純資産/Book value Per Share)
BPS(1株当たり純資産)とは、1株当たりの資産がどの程度かを知る指標です。数値が高いほど財務状況の安定性が高いといわれています。
BPSの計算方法
BPS = 純資産 ÷ 発行済株式数
PER(株価収益率/Price Earnings Ratio)
PER(株価収益率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PERの計算方法
PER = 株価 ÷ 1株あたり当期純利益(EPS)
一般的には、PERは15倍程度が平均とされています。15倍よりも高ければ割高、低ければ割安と判断されることが多いです。
PBR(株価純資産倍率/Price Book value Ratio)
PBR(株価純資産倍率)は現在の株価がその企業の1株当たりの純資産に対して何倍に相当するかを表す指標です。
PBRの計算式
PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)
一般的な判断基準として、PBRが1倍以上であれば割高、1倍未満であれば割安だと考えられます。
ROE(自己資本利益率/Return On Equity)
ROE(自己資本利益率)とは、株主が企業に拠出した資本を使ってその企業がどれだけの利益を獲得したかという指標です。
ROEの計算式
ROE(%)=(当期純利益 ÷ 自己資本)× 100
ROEが高いほど、経営の収益効率性は高く8~10%を超えると優良企業だといわれます。
ROA(総資本利益率/Return On Asset)
ROA(総資本利益率)は、総資産に対してどれくらい利益を獲得できたかを見る指標となります。数値は高ければ高いほど効率的に利益を獲得していると判断されます。
ROAの計算式
ROA(%) = 当期純利益(経常利益) / 総資産 × 100
ROAの数値が5%を超えていると優良企業だといわれています。ただし、業種によっても基準となる数値は異なります。
まとめ
株式投資を基本的なルールを知らずに初めてしまうのはリスクがあります。ただ、株価指標など最低限の気をつけるポイントを押さえるだけでも投資で失敗する可能性を減らすことができます。
また、現物取引のメリットは「配当」や「株主優待」などもありますし、投じた資金以上の損失が発生しないのはこれから投資を始める方には安心できるポイントではないでしょうか。ぜひこの記事を参考に株式投資デビューを検討してみてください!
- シャケ男
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