次代のGAFAMを探しなさい!国外銘柄 編 ~超かんたん!!! 米国株講座⑤ for beginners~
不定期連載企画、超かんたん!!! 米国株講座⑤ for beginners。
今回のテーマは、ズバリ“次代のGAFAMを探しなさい!”。
もうご存じの通り、GAFAMとは、グーグル・アップル・フェイスブック=現メタ・アマゾン・マイクロソフトのことですが、GAFAMの次に来る新世代のビッグテックを探しましょうという企画です。
”そんなことが簡単にできるなら苦労はないんだよ”と言うなかれ!ヒントくらいはあるはずです。
米国株市場の最大の特徴といえばなんでしょうか?
さまざまな答えがありそうですが、筆者の独断と偏見でいうなら、それは米国発の企業ではなく、欧州、中東、アフリカ、南米、もちろん日本や中国など、世界中のありとあらゆる先進企業が競って上場していること、ではないでしょうか?
世界の株式市場、それが米国株市場ということなのです。
そしてそんなあえて米国発以外の米国株を探してみると、意外や意外、次代をけん引しそうなきわめて先進的な企業がぞくぞくと見えてきます。
もちろん、本当に次代のGAFAMになれるかどうか?そんな保障は全くありません。
しかし、そこにはワクワクするようなユニークな背景が盛沢山なことがわかります。
不定期連載、超かんたん!!! 米国株講座⑤ for beginners 次代のGAFAMを探しなさい! 国外銘柄編。
今回は筆者が独断と偏見で注目する5つの銘柄を紹介しましょう。
本記事は不定期連載、超かんたん!!! 米国株講座④ for beginnersの続編です。
注目銘柄①
ブラジルのデジタル銀行、ヌーバンク
【銘柄名】ヌー・ホールディングス
【ティッカー】NU
【上場市場】NYSE
【上場時期】2021年12月
1つ目はヌーバンクです。ご存じの方はまだ少ないかもしれませんが、ヌーバンクは2013年にブラジルに設立された、店舗を持たないデジタル銀行です。
当時ブラジルは、大手銀行数社の寡占状態にあり口座の維持手数料やクレジットカードの年会費が高く、低所得層のほとんどは銀行口座やクレジットカードは持っていないのが当たり前な状況でした。
そうしたなか、ヌーバンクは初めて低所得層を対象に銀行業務を創業、年会費無料のクレジットカードを皮切りに、銀行口座と類似の機能を持ったデジタル口座、株式などの投資商品、無担保融資、保険商品と次々に事業を拡充していきました。
結果、使いやすさと機能の充実が受けて、利用者が瞬く間に急増していきました。
拠点もブラジルだけに限らず、メキシコ、コロンビア、アルゼンチンと広がっていき、2022年3月末には利用者5,960万人と南米最大のネット銀行に成長しました。
6,000万人近い顧客数というのはなんと米銀最大手のJPモルガン・チェースと同規模というから驚きます。
ちなみに銀行口座を持たない人のことを“アンバンクト”と呼ぶのですが、このアンバンクトを対象に従来型の銀行に対抗するフィンテック企業のことを欧米ではチャレンジャーバンクと呼びます。
ヌーバンクはまさにこのチャレンジャーバンクの世界最大手に成長しているのです。
またこのヌーバンクには投資の神様、ウォーレン・バフェット氏も出資をしているほか、2021年12月9日にはニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場を果たしています。
(ヌーバンク=過去1年)
直近、2022年7月末日の終値は4.21ドルとまだ小さく、1株当たり株価は日本円換算ではわずか568円(≒135円で計算)程度でしかありません。ヌーバンクも2022年に入って大きく調整したハイテク株のひとつですが、このところようやく反転してきた印象です。
長年の格差社会に喘ぐブラジルでは、貧困層を支持基盤にしたルラ元大統領がボルソナロ大統領から政権を奪い返す可能性が高まっています。
こうした新しい時代の波に乗って、ヌーバンクがさらなる発展を遂げていけるのか!? ワクワクしながら見守っていきたい銘柄の代表格と筆者は考えています。
注目銘柄②
アフリカのアマゾン、ジュミア
【銘柄名】ジュミア・テクノロジーズ
【ティッカー】JMIA
【上場市場】NYSE
【上場時期】2019年4月
ジュミア・テクノロジーズ(以下、ジュミア)は、アフリカのアマゾンと言われるように、アフリカ大陸でEC(電子商取引)のプラットフォームを運営する企業です。
にもかかわらず、2019年にドイツのベルリンで設立された生粋のドイツ企業というところもユニークです。
ご存じのようにアフリカ大陸は55の国と地域を有する“最後の成長フロンティア”と呼ばれる巨大な市場です。
現在の人口は約14億2700万人と中国やインドとほぼ同規模ながら、2050年には1.7倍以上の24億8500万人になる見込みで、世界の4人に1人はアフリカ人という時代がやって来ると言われています。
しかし、一方では電気や水資源といったインフラ不足や食糧問題、格差・貧困といった社会問題などの課題が山積です。
とはいえ最近は携帯電話の急速な普及でデジタルサービスが拡大。途上国だからこそ最新技術が一足飛びに普及するリープフロッグ(カエル跳び)現象が起きやすい大陸とも言われています。
そうした見通しを背景に、ジュミアはマーケットプレイスと呼ばれる、EC(電子商取引)のプラットフォームの提供と物流網の構築を通じ、ありとあらゆる商品の宅配事業を展開。さらにはレストラン予約、デリバリサービス、ジュミア・ペイと呼ばれる決済サービス、個人融資事業まで幅広い展開を狙っています。
そんなジュミアは2019年4月12日にはニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場。黒字化を目指して新しいステージに入りました。
(ジュミア=過去1年)
コロナ禍にあった2021年2月12日には過去最高値の62.43ドルを付けましたが、その後のハイテク株の調整で2022年5月11日には4.78ドルと最高値から91%も低い年初来最安値を付けました。
直近、2022年7月末日の終値も5.51ドルとまだまだ小さく、日本円換算では1株当たりわずか743円(≒135円で計算)程度です。
とはいえ、足元では反転してきているのがはっきり見てとれます。
ジュミアを通じて “最後の成長フロンティア”の潜在能力を長期でじっくり腰を落ち着けて享受していきたいーー。そうした人には夢のある楽しい銘柄ひとつであることは間違いなさそうです。
注目銘柄③
イスラエルのITセキュリティ、チェック・ポイント
【銘柄名】チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ
【ティッカー】CHKP
【上場市場】NASDAQ
【上場時期】1996年6月
このなかでは、最も異色なのがチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ(以下、チェック・ポイント)です。
同社は、イスラエルのテルアビブに本拠を置く、1993年に設立したITセキュリティーの大手企業。具体的にはITセキュリティ向け製品の研究、開発、販売、およびサポートサービスを提供する世界最先端企業です。
あらゆるモノがインターネットで繋がるIoTから、サイバー戦争を中心にした国防に到るまで、ITセキュリティの問題はますます重要になってきており、同社の存在感は日増しに大きくなっています。
ロシアによるウクライナ侵攻後には、チェック・ポイントという企業の名前を聞かない日はないくらいです。
そうしたITセキュリティの先端専門企業がイスラエル発の企業というのは腑に落ちるところでしょう。
(チェック・ポイント=過去5年)
チェック・ポイントがNASDAQに上場したのは意外に古い1996年6月のこと。
コロナ禍を通じて安定して伸びてきましたが、なかでも特にロシアがウクライナに侵攻した直後の2022年3月2日には、148.98ドルの過去最高値をつけました。
また直近、2022年7月末の終値は124.60ドルと、1株当たりの株価は日本円換算では16,821円(≒135円で計算)程度です。
いずれにしてもこの企業に対する需要は、残念ながら今後永遠になくなりそうにありません。
注目銘柄④
東南アジア最大のプラットフォーマー、シー
【銘柄名】シー
【ティッカー】SE
【上場市場】NYSE
【上場時期】2017年10月
3つ目は東南アジア最大のプラットフォーマー、シーです。
シーはもともと2009年にオンラインゲームのプラットフォーマーとしてシンガポールで創業。インドネシア、台湾、ベトナム、タイ、フィリピン、マレーシアなど東南アジア全体に事業を展開した企業です。
2015年には「Shopee(ショッピー)」という名称でECプラットフォームにも参入。さらに現在では「SeaMoney」というプラットフォームで、デジタル決済などの金融サービスにも着手しています。
また近い将来には銀行業務にも進出しようと目論む東南アジア最大の総合プラットフォーマーを目指しています。
例えるなら、中国のテンセントとアリババが一緒になったような東南アジアのスーパー企業とも言えるかもしれません。実際にテンセントは同社の大株主でもあります。
2017年10月には東南アジア発のスタートアップとして、いち早くニューヨーク証券取引所に上場。コロナ禍においても巣篭り消費の追い風を受けて株価は隆盛を極めました。
2021年10月19日には、366.99ドルと史上最高値の更新。これは上場時の株価の26倍です。
ところが他の巣篭り銘柄と同じようにその後株価は急落。調整が長らく続き、直近2022年7月末の終値は76.32ドルと、過去最高値から79%も下落してしまいました。
(シー=過去5年)
ちなみに直近2022年7月末日の1株当たりの株価は日本円換算で10,303円(≒135円で計算)程度です。
今後の課題としてはいまだに赤字体質を脱却できないでいることのほか、東南アジアだけでなく、南米や東欧への進出も進めており、流石にマーケットを広げ過ぎとの批判もあるようです。
ともあれ、中国企業の米国株市場への上場が今後は難しくなることを考えれば、東南アジア発の米国株には同じアジア人としても成長を期待したくなるのが人情です。
危うい状況を乗り越え、次のビックテックに無事成長していけるのか?
期待とともに注目したい企業のひとつであることは間違いありません。
注目銘柄⑤
ラテンアメリカのアマゾン、メルカドリブレ
【銘柄名】メルカドリブレ
【ティッカー】MELI
【上場市場】ナスダック
【上場時期】2007年8月
最後に注目したいのがラテンアメリカのアマゾンこと、メルカドリブレです。
アフリカのアマゾンがあるくらいなので、やっぱりラテンアメリカのアマゾンもあったのですね。
もっとも2019年設立のジュミアとは違い、メルカドリブレの設立は1999年のアルゼンチンで、すでに23年もの実績があります。
また本家のアマゾンが正式オープンしたのが1995年ですから、設立時期も4年しか違いません。
そうしたなかでラテンアメリカでは現在、アマゾンを完璧に抑え込んでメルカドリブレの方が圧倒的に普及していいます。なぜか?
そもそもメルカドリブレとは、フリーマーケット(自由市場)という意味のスペイン語で、やっていることは基本的にはアマゾンと同じEC(電子商取引)事業です。
実はメルカドリブレがアマゾンを凌ぐ大きな要因となったのが「メルカドバゴ」と呼ばれる、QRコードを用いた独自の決済サービスの存在です。
ヌーバンクの際にも触れましたが、ブラジルをはじめとしたラテンアメリカでは銀行口座やクレジットカードを持たない人が多いため、クレジットカード決済を土台にしたアマゾンは敬遠され、QRコードをベースにした便利なメルカドリブレが急成長していったとわけなのです。
ここでも普及が遅れたがゆえに一足飛びに進化するリープ・フロッグ現象が起きたということです。
現在、メルカドリブレはアルゼンチンを皮切りにボリビア、ブラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、メキシコ、スペイン、エクアドル、グアテマラ、ホンジュラス、ペルー、パナマ、ウルグアイ、ベネズエラとなんと世界18カ国でEコマース事業を展開。そのうちの約65%をブラジルが占めていると言われます。
さて、そんなメルカドリブレは、2007年8月にラテンアメリカ発の企業としては初めてナスダックへの上場を果たしました。
上場後は順調に株価を伸ばしコロナ禍の2021年1月22日には1,965.05ドルと史上最高値を更新しています。
ところが御多分にもれず、その後巣篭り消費ブームの終焉を機に株価は調整し、直近2022年7月末日の終値は813.71ドルと、最高値から58%下落している状況です。この値は日本円換算で1株あたり109,850円(≒135円で計算)程度です。
(メルカドリブレ=過去5年)
また足元では2021年から長く続いた調整期間を抜けてきているのが見てとれます。
ラテンアメリカでのEコマースの普及率は急成長中とはいえ、先進国に比べればまだまだ低い状況です。
メルカドリブレの伸びしろは長期で実はこれからが本番なのかもしれません。
《まとめ》
超かんたん!!! 米国株講座⑤ for beginners 次代の GAFAMを探しなさい! 国外銘柄 編 いかがだったでしょうか? こうして見ていくと、世界というものは長い目で常に進化し続けているのだなあと、感動とともに元気がでてきませんか? 今回注目した5つの次代の GAFAM候補銘柄については、今後も情報を更新しながら、ウオッチし続けていきたいと思います。
あっ、とはいえこの5銘柄はあくまで筆者が勝手に注目しただけで、決して推奨ではありません。あしからず。そのへんはしかっりと、ご了承いただけますよう、何卒よろしくお願い致します。
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