金融市場のクジラ「GPIF」を理解しよう

投資に関心を持つ人ならGPIFという名前を一度は聞いたことがあるかもしれません。GPIFは莫大な資金を運用することから、多くの投資家から注目される組織です。

今回は金融市場に大きな影響力を持っているGPIFを解説します。

GPIFとは

GPIFを簡単に説明すると「厚生労働大臣から寄託されて、年金積立金を管理・資産運用している公的機関」です。正式名称は「年金積立金管理運用独立法人」といいます。

年金積立金とは、現役世代が納めた厚生年金や国民年金などの保険料のうち年金の支払いなどに充てられなかった資金のことです。GPIFの運用資金は約193兆円(2022年度第1四半期時点)と膨大な金額となり運用額の大きさから「市場のクジラ」と呼ばれています。

GPIFが求められていること

GPIFがつくられた目的はいくつかありますが、そのうちもっとも重要なものが日本の少子高齢化対策のためです。現役世代の人口が減り、年金受給者の人口が増えると、現役世代の負担が大きくなり過ぎます。そこでGPIFは、未来の世代の為に年金積立金を運用して不足額を補い、年金財政の安定化を目指すことを目的として誕生した組織です。

GPIFの投資方針

GPIFがどこにどれくらい投資するかは資産構成割合(基本ポートフォリオ)を基に判断しています。そしてGPIFの投資スタイルは短期売買ではなく、国内や海外の株式や債券などに投資を行い長期にわたって持ち続ける「長期分散投資」が基本となっています。

国内だけではなく海外にも投資することで、世界中から収益を得ると同時に分散効果で大きな損失が発生する可能性を抑える投資手法となっています。では、莫大な金額を運用しているGPIFがどこの国にどれくらい投資をしているのか紹介します。(2022年3月末時点)

1位:日本

投資金額は約95兆円。内訳は株式に49.3兆円、債券に46兆円です。

2位:アメリカ

投資金額は約55.6兆円。内訳は株式に31.8兆円、債券に23.7兆円です。

3位:フランス

投資金額は約6.2兆円。内訳は株式に1.6兆円、債券に4.5兆円です。

4位:イギリス

投資金額は約4.8兆円。内訳は株式に2.1兆円、債券に2.7兆円です。

5位:イタリア

投資金額は約4.3兆円。内訳は株式に0.3兆円、債券に4.0兆円です。


上記の通り、GPIFが運用している金額はかなり大きいものになるので、市場や企業経営に与える影響に配慮しつつ、国内外の様々な資産に幅広く投資しています。

GPIFのポートフォリオ構成割合は?

金融市場に大きな影響を与えるGPIFのポートフォリオは基本的に、国内株式・国内債券・外国株式・外国債券の4つに分けられており、2022年6月末時点の構成割合はこのようになっています。

上記の表を見ていただくとわかるように、GPIFは株式や債券など一つの商品に投資が偏ることはなく、バランスが取れたポートフォリオになっています。

2021年の運用成果

国民の大切な財産を運用しているGPIFの運用結果は、メディアや国民から非常に注目されています。では、そんなGPIFの通算の運用益はどうなっているのでしょう。GPIFが運用を開始した2001年から2021年末までの間に積み上げた累積収益額は、約105兆4,288億円になります。20年間で約105兆円の資産を増やしているというわけです。そして2021年単年の収益は約10兆925億円で、そのうちインカムゲインは3兆1,983億円となります。2021年度の収益率は+5.42%、運用開始から2021年末までの収益率は+3.69%となっています。GPIFは市場運用開始以降、着実に利益を積み上げているといえます。規模は違いますが、GPIFの長期分散投資の考え方は、個人投資家にも参考になりそうですね。

まとめ

年金積立金は、GPIFによって国内外の株式と債券に投資されています。そして運用方針は「長期分散投資」になります。GPIFの運用状況は国民にとって非常に大切です。過去の運用実績などはこちらからチェックすることができるので、一度覗いてみてはいかがでしょう。