8月の重要イベント ジャクソンホール会議とは

毎年8月下旬に米国のワイオミング州で開催される経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」。主要国の中央銀行トップや経済学者が集まり、時に大きく相場が動くイベントとして知られています。今回はジャクソンホール会議についてご紹介します。

キャメロン・ディアスも新婚旅行で訪れた観光地

ジャクソンホールは米国ワイオミング州北西部にある地名です。ホールはHall(会場)ではなくHole(穴)の意味。ジャクソンホールの地形は谷であり、ジャクソンホールの北側と東側の山があまりにも高く、ジャクソンホールに入った猟師が「まるで穴のなかにいるようだ」と感じたことから名づけられたそうです。


ジャクソンホールは自然豊かな観光地で、バイソンなどの野生動物が群なすグランドティトン国立公園やイエローストーン国立公園など米国屈指の美しい国立公園があり、世界中から観光客がやってきます。2015年にキャメロン・ディアスが新婚旅行に選んだ場所としてもニュースになりました。


でも、なんでこんなところで経済シンポジウムが開催されるのでしょう。そのきっかけは1982年にさかのぼります。ジャクソンホール会議を主催するカンザスシティ連邦準備銀行は1978年から同様のシンポジウムを毎回違う場所で開催していました。名称もジャクソンホール会議ではなく、当時は大きな注目を集めるものではありませんでした。そこで、カンザスシティ連銀は1982年のシンポジウムに当時のFRB議長であるポール・ボルカー氏の招聘を計画します。

ボルカー氏は釣りが大好きで、フライ・フィッシングの名所であるジャクソンホールのスネーク川をたびたび訪れていたそうです。そこで、ジャクソンホールを会場にすればボルカー氏も喜んできてくれるのでは、という目論見だったようです。見事にカンザスシティ連銀はボルカー氏の招聘に成功。結果として各国の中央銀行トップや政治家、経済学者が集まる、注目の経済イベントになったというわけです。それ以来、シンポジウムは毎年8月下旬にジャクソンホール会議として開催されるようになりました。

なぜジャクソンホール会議は重要なのか

ジャクソンホール会議には各国の中央銀行総裁を始めとする有識者が集まりますが、市場関係者が最も注目しているのがFRB議長の発言です。7月のFOMCから金融政策に変化はあるのか、9月のFOMCまでの中間報告的な意味合いがあり、発言によっては株式・為替相場が大きく動くことがあります。


2010年に行われたジャクソンホール会議では、当時のバーナンキFRB議長がQE2(量的緩和第二弾)実施を示唆し、世界の株価が大きく上昇しました。為替相場もドル/円が平均を上回る値動きを見せ、ジャクソンホール会議の影響力の大きさを世界に知らしめました。2016年のジャクソンホール会議では当時のイエレンFRB議長が利上げを示唆し、ドルやユーロなどの主要通貨が円に対して大きく上昇しています。


2020年はコロナウィルスの影響によりオンライン開催となりましたが、パウエルFRB議長は米国の平均インフレ率2%を目指し、2%を超えても緩和を続けるという新たな政策指針を表明。この会見により米国株は一時的に大きく上下しました。ジャクソンホール会議はFRB議長などの発言によって思わぬ大相場を作り出すことがあるため、個人投資家は非常に注目しているわけです。

久々のリアル会議で波乱はあるか?

ジャクソンホール会議は2020年、2021年とコロナウィルス感染を避けるためオンラインで行われましたが、2022年は3年ぶりに対面で8月25日~27日の期間に行われる予定です。やはり注目はパウエルFRB議長の発言です。


9月のFOMCでの利上げは0.5%という見方が中心でしたが、8月5日に発表された米7月雇用統計が予想外に強く、一気に0.75%の利上げ観測が強まってきました。8月10日発表の米7月CPI結果を踏まえて、ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長が利上げ幅や今後の利上げペースについて何か言及するのか、非常に気になるところです。

何事もなくジャクソンホール会議が終了する可能性もありますが、株&FXトレーダーは万が一の大相場に備えて、ポジションを軽くして備えたいですね。