プロはどう見る?米国株市場の展望を調べてみた<2022年5月>

コロナ禍においても好調だった米国株市場ですが、2022年に入り、さまざまな要因から不調が続いています。

とくに90年ぶりとなるNYダウの続落などは大きな衝撃でした。

そんな米国株市場。投資のプロたちは、今後についてどのような見解を持っているのでしょうか?

投資信託を運用する資産運用会社の直近のレポートをまとめてみました。

とくに今回は、日本にも拠点を置く外資系の資産運用会社のレポートに比重を置きたいと思います。

!ご注意!

各社のレポートを読んで独自に要約をしたものです。正確な情報や根拠については、ぜひ各社のレポートをご覧ください。

フィデリティ投信のレポート

フィデリティ投信は、米国を中心に世界25か所以上に拠点を設けるフィデリティ・インターナショナルの日本法人です。

チェックしたレポートは?

2022年5月13日に公開されたレポート「2分で考える『利上げで景気は?株価は?』」では、大局では景気拡大は続くという見通しです。

さらに、同日に公開されたレポート「2分で考える『米国成長株式からの分散』」では、注目度が高く、資金が集中している米国成長株式(グロース株)についての見解が述べられています。

フィデリティ投信の最新レポートはこちら

成長株式(グロース株)については、こちらの記事もご覧ください。

レポートの要点は?

  • テクノロジー関連の大企業を中心に、長期で安定した利益が見込まれる。
  • 一方、成長期待の高さから割高になっているため、金融引き締めによって調整を受けやすい。利上げによる調整に備え、他の資産への分散投資を検討すべき。
  • 分散先としては、インフレ対策としての割安株(バリュー株)リート。さらなる調整に備えてハイ・イールド債券などを視野に入れたい。

米国を拠点とした投資信託の運用会社らしく、地域としては米国にベースを置きつつアセットクラスによる分散を提案しています。

実際、個人投資家にとっては海外のリートやハイ・イールド債券への投資はハードルが高いため、投資信託を通じての運用が主要な手段になりそうです。

J.P.モルガン・アセット・マネジメントのレポート

J.P.モルガン・アセット・マネジメントは、ご存じの通り米国トップクラスの金融総合サービス会社JPモルガン・チェース・アンド・カンパニーの資産運用部門です。

チェックしたレポートは?

5月16日に更新された「3分で読める!ストラテジストのグローバル市場展望『弱気相場入り目前の米国株。今後の見通しは?』」によると、長期的にはちょうど見極める局面にあり、短期的には下落は限定的との見方のようです。

PDFでレポートを開示している資産運用会社が大半の中で、J.P.モルガン・アセット・マネジメントはHTMLでマーケットレポートを提供しているのでスマートフォンでも読みやすいのが魅力です。

J.P.モルガン・アセット・マネジメントの最新レポートはこちら

レポートの要点は?

  • 高インフレや金融引き締めなどを考慮すれば、来年に米国が景気後退入りする可能性がある。
  • 一方で、景気はまだ底堅く、「来年辺りの景気後退の有無を見極める局面」といえる。
  • 当面の下値余地は限定的で、短期的には反発する可能性が高い。

米国経済については、景気不安やさらなる悪化を懸念して投資をやめたり、過度にリスク回避的なポートフォリオを構築するのは時期尚早というスタンスのようです。

ただし、不安定な相場は続きそうなため、リスクをとりすぎることも控えた方がベター。

高インフレに対応する観点からは資源関連株式など、景気減速に対応する観点からはディフェンシブ株式インカム系資産などへの分散投資も検討したい、ということでした。

J.P.モルガン・アセット・マネジメントの旗艦ファンドの一つに「JPMベスト・インカム」というインカムに特化したファンドがあるから上記の見解?と邪推もしましたが、実際、不安定な相場環境では、インカムを積み上げることで下落に備えたいのも事実です。

インカムに注目した投資銘柄については、バリュー投資の記事もぜひご覧ください。

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのレポート

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントは、米国に拠点を置く金融企業ゴールドマン・サックスの資産運用部門です。

ちなみに、BRICsの名付け親でもあるブームの火付け役となったジム・オニールは、かつてゴールドマン・サックスの会長を務めていました。

チェックしたレポートは?

5月19日に更新された「GS米国成長株集中投資ファンド-運用状況と市場環境について」をチェックしました。

米国市場のみにフォーカスしたものではなく、米国の成長株に投資するファンドのレポートですが、その中に今後の米国経済についての言及がありました。

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのレポートはこちら

レポートの要点は?

  • 今後、米国株市場は緩やかな成長ペースとなることが予想される。
  • インフレ対策の金融引き締めについては、過度な景気の落ち込みを避けるべく、FRBは慎重に行うと想定。
  • 今後は、力強く成長する企業とそうでない企業の差が出やすい環境になる。
  • 米国成長株式の今後の業績予想は、2022年が前年比+14%、2023年も同+14%で、米国株式市場全体よりも高く成長する見込み。

前述のフィデリティ投信とは若干異なる意見ですね。もちろん、グロース株に投資をするファンドのレポートなので、ポジティブな要因にフォーカスするのは当然です。

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外資系の資産運用会社というと、少しとっつきにくいイメージもありますが、実はホームページで個人投資家向けに様々なレポートを提供しています。

最後に日本の資産運用会社のレポートを見ていきましょう。

国内の運用会社も積極的に情報提供を行っています。

野村アセットマネジメントのレポート

野村アセットマネジメントは、運用資産が60兆円を超える国内大手の資産運用会社です。グループ会社に野村證券があることから、古くからの顧客を多く抱えている一方で、若年層への資産運用の啓もうも進めています。

チェックしたレポートは?

5月23日に更新された「【石黒英之のMarket Navi】下落基調続く米国株の反転時期は近い?」によると、90年ぶりの続落を見せた米国株市場は、悲観的な心理による売られ過ぎ感があり、今後の企業業績によっては、その悲観が後退する可能性もあるだろう、とのこと。

野村アセットマネジメントのレポートはこちら

レポートの要点は?

  • 米国の小売大手各社の決算不調もあり、歴史的な下落局面が続いている。
  • マーケット全体の心理状況が過度に悪化している側面もみられる。ちょっとしたポジティブ要因で一気に投資家心理が反転する場合も多い。
  • 今後、情報技術系の決算発表があるが、小売業界とは市場環境が異なるため、必ずしも業績が悪いとは限らない。
  • アメリカの消費者物価指数の伸びが鈍化、上海の都市封鎖の解除などの明るい兆しも見え始めた。
  • これらがポジティブ要因になる可能性もある。

明確に市場が好転する、こんな業種が堅調、という示唆はありませんでした。状況が好転するような要素が見え始めてきた……といった不確実な期待が見えます。

まとめ

このように資産運用会社も個人投資家向けの情報提供を強化しています。

とくに資産運用会社は投資信託を運用しているので、分散投資を推奨するスタンスが多く、比較的に安定した見解が見られます。

また、会社によって得意な運用スタイルもさまざま。ぜひ複数の会社のレポートを読み比べてみてください。

今後も、注目のテーマについては複数の金融企業のレポートを見比べていきたいと思っています。

!最後にもう一度ご注意!

各社のレポートを読んで独自に要約をしたものです。正確な情報や根拠については、ぜひ各社のレポートをご覧ください。