爆売れコオロギせんべい 昆虫食が世界を救う!?

世界の人口増加に伴う食糧危機に対し、有効な手段として「昆虫食」に注目が集まっています。2030年には昆虫食市場が8000億円規模に拡大するとの予測も。日本では無印良品がグリラスと共同開発し、2020年に販売開始した「コオロギせんべい」が大ヒットし、生産が追い付かない状況とか。昆虫食を楽しめるレストランも増えています。話題の昆虫食ビジネスについて調査しました。


大昆虫食時代の幕開け

昆虫食が注目されるようになったのは、FAO(国際連合食糧農業機関)が2013年に発表した報告書がきっかけでした。

「世界は深刻な食糧問題に直面しており、将来的な人口増加に伴い動物性たんぱく質の需要が増し、食糧や家畜の飼料が不足する。昆虫食は栄養価が高く、従来の家畜に比べて低コストであり、地球の環境と人々の健康に貢献する」と昆虫食に期待を寄せています。


以降、世界中で昆虫食の研究・開発が促進し、英国の大手金融グループ・バークレイズの調査によると、2030年の昆虫食市場は8000億円規模に拡大すると予測しています。私たちの食卓に、日常的に魚や肉のように昆虫食が並ぶ日が来るのでしょうか。

今、コオロギが熱い!

FAOの調査によると、世界中で食べられている昆虫は1900種以上、最も多く食べられているのは甲虫(31%)で、続いてイモムシ(18%)、ハチおよびアリ(14%)、バッタ、イナゴおよびコオロギ(13%)の順で消費されているそうです。


日本でもイナゴやハチの子、ザザムシなどが伝統的に食べられてきましたが、いま最も注目を集めている昆虫はコオロギです。その火付け役は、無印良品が2020年から販売開始したコオロギせんべいでしょう。

無印良品がコオロギに着目した理由は、栄養素です。コオロギ100gあたりのたんぱく質量は60g。鶏の23.3g、豚の22.1g、牛の21.1gを大きく上回っています(無印良品ホームページより)。FAOの報告書で危惧されている、人口増加による動物性たんぱく質の需要を担う存在になるかもしれません。


さらに、飼育による環境への負荷を考えた場合もコオロギは優秀です。FAOのデータによると、牛と比べて必要なエサの量は1/5程度、水の量は1/5500程度、温室効果ガス排出量は1/28程度と、圧倒的に環境負荷が軽減されます。他にも、飼育が容易で省スペースで生産可能、約35日で成虫となるため効率よく生産できる、雑食なのでエサの選択肢が豊富であり残った食糧を利用できるため食糧廃棄の問題にも貢献できる…等々、コオロギのメリットは豊富です。


無印良品とコオロギせんべいを共同開発したグリラスは、売り上げの伸びに対してコオロギパウダーの生産が追いつかない状況を改善すべく、新たに自社ファームを立ち上げ、2023年末までに現在の約6倍となる年間60トンの生産体制を整える予定とのこと。コオロギはせんべいのほか、チョコレートやプロテイン、ラーメン、カレーなど幅広い食品に利用可能。パウダー状にした食材のため見た目の抵抗も少なく、昆虫食のエースとなりそうです。


魅惑の昆虫レストラン

コオロギはじめ、様々な昆虫食を体験できるレストランも各地で続々オープンしています。ジビエと昆虫食を提供する「米とサーカス」は渋谷パルコや高田馬場に店舗を構え、カイコ、ハチノコ、コオロギ、ミールワーム、イナゴなど様々な昆虫食を体験できる「MUSHIだんご」や、タガメを使った「MUSHIパフェ」などの昆虫食メニューを提供しています。

「ANTCICADA」(アントシカダ)は日本橋馬喰町にある昆虫食レストラン。おしゃれな雰囲気で、コオロギラーメンとコース料理をメインに、コオロギビール、タガメジンなどの昆虫酒も楽しめます。

昆虫食はレストランだけでなく自販機でも購入可能です。コインロッカー設置事業を手掛けるティ・アイ・エスは、上野アメ横商店街や中野、吉祥寺の商店街などに昆虫食自販機を設置。コオロギ、タガメ、ゲンゴロウなどを使用した様々なメニューを販売しています。

自販機の売り上げは月20~40万円程度だそうですが、設置場所によって売り上げ90万円を超えることもあるそうです。


低コストで生産しやすいサスティナブルな昆虫食分野には、今後も様々な企業が参入していくことが予想されます。投資先としても有望かもしれません。個人投資家が気軽に買える「コオロギファンド」などが登場するかも。引き続き昆虫食ビジネスをウォッチしていきます!