コロナ禍で興行収益が激減!? アノ国が世界一の映画大国に!

新型コロナウィルスの出現により、様々な産業が大きな打撃を受けています。なかでも映画・演劇などエンターテインメント産業の被害は甚大…そんな中、ある国ではいち早く映画産業が復活しつつあるようです。映画ファンのワタヤンが調査しました。

2020年世界で最もヒットした映画は?

新型コロナウィルスが猛威をふるった2020年に、世界で最もヒットした映画をご存知でしょうか。

映画館の大スクリーンの素晴らしさを再認識させた、クリストファー・ノーラン監督のSF大作『TENET テネット』、日本の興行収入記録を塗り替え歴代1位となり、45の国と地域で上映された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』など、苦境にあっても2020年には話題作が次々と誕生しました。

そして、これらの強力なライバルを退け、堂々の興行収益ランキング世界1位に君臨したのは、世界一の映画大国が最新技術のIMAXを導入し、総製作費80億円を投じて製作された、あの歴史超大作『エイト・ハンドレッド-戦場の英雄たち-』でした!!

……自分で煽っておいて申し訳ないのですが、僕はこの映画の存在をまったく知りませんでした。2020年で最も売れた映画だったのに!映画ファン失格です…

エイト・ハンドレッドは原題が『八佰』、中国製作の映画で日本未公開の作品でしたが、2021年に日本版公式サイトができ、日本向けの予告編がyoutubeにアップされるなど、日本での劇場公開も近いようです。

中国が米国を抜き世界一の映画市場に

そして、先ほどエイト・ハンドレッドの紹介で「世界一の映画大国が…」としれっと書いてますが、これはもちろん中国のことです。これまで、映画興行収入世界一の国といえば米国でしたが、2020年に初めて中国がその座を奪いました。

2020年作品別映画興行収入ランキングのトップ10を見ると、エイト・ハンドレッド(八佰)とあわせて『愛しの故郷』、『姜子牙』、『金剛川』と、中国で制作された作品が4つもランクインしています。

中国が映画興行収入のトップにたてた理由のひとつは、新型コロナウィルスの影響によってハリウッドの大作映画のほとんどが上映延期になり、米国市場が大きく落ち込んだこと。

そして、中国政府主導による映画を含む文化産業への莫大な投資、映画館の上映スクリーンの拡充、明確な目標をたてて国産映画のクオリティ向上に取り組んだことが大きい要因となっています。

中国は、現在世界でもっとも上映スクリーンの数が多い国となっており、2021年時点で77000枚を超えています。2005年には2500枚程度といわれていますので、15年の間に30倍程度上映スクリーンが増えた計算になります。

国家主導で映画大国を目指す中国

ハリウッドがこけた隙に、映画市場世界1位を奪った中国ですが、今後もこの座を明け渡すつもりはないようです。

中国の映画行政を管轄する国家電影局は、2021年11月9日に「5カ年計画」を発表。年間50本程度の映画を公開し、合計1億元(約18億円)以上の興行収入を達成する、上映スクリーンの数を2025年までに10万にする、SF映画の製作を積極的に支援し、映画の特殊効果のレベルを全面的に向上させる、などの明確なプランを打ち出しました。

中国のブランドをあげるために、映画が果たす役割は大きいと考えられているようですね。

日本の映画界にとっても、ますます拡大する中国の市場でいかに稼ぐかが重要です。制作費が破格でスケールが大きい中国産映画に比べて、邦画は苦戦しそうですが、アニメはかなり健闘しているようです。

2020年に中国で公開された日本のアニメ映画『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』は、興行収入1億2500万元(約19億8700万円)のヒットとなり、日本国内の興行収入を上回りました。

巻き返しをはかる米国は、アベンジャーズなど人気シリーズを生み出したマーベル・スタジオが『シャン・チー』、『エターナルズ』など大作を次々公開していますが、『シャン・チー』の主人公は中国系ヒーロー、『エターナルズ』の監督は中国人のクロエ・ジャオで、物語には複数のアジア系ヒーローが登場します。めちゃくちゃ中国マーケットを意識していますね。

ところが、『シャン・チー』も『エターナルズ』も、当局から中国での公開許可がおりず、上映されるかどうか難航している模様。『シャン・チー』は原作コミックのあるキャラクターの造詣と、主演のシム・リウが過去に中国共産党批判を行ったことが問題視されているようです。

『エターナルズ』は、やはりジャオ監督が過去に中国批判を行ったことが公開許可がおりない理由とのこと。マーベルスタジオ、完全に戦略が裏目に出ています!

中国特有のリスクは大きなハードルですが、これからは中国のスクリーンを制するものが、映画界を制する時代なのかもしれません。

(ワタヤン)